日本イエナプラン
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コラム

公立学校におけるイエナプランの可能性を探る

 

 

 この度、イエナ・コラムを不定期で発信することになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 202512月に、イエナプランの要素を取り入れた教育実践を行う、2つの公立学校に、代表理事の濵と、今年度理事に就任した横溝が訪問させていただきました。

 12/3は、名古屋市立山吹小学校への訪問。

 今回は、名古屋市教育委員会が主催する「NAGOYA Compass DAY3」に参加させていただく形式での訪問となりました。 山吹小学校は、イエナプランの「いいとこどり」を始めて4年が経過しています。実際に先生方の様子、在校生のみなさまの様子を拝見し、「自律的に学ぶ子ども」が育っていることを実感しました。自分で考え⇒計画を立て⇒1時間の学びを丁寧に振り返る。 上記の学習プロセスを着実に積み重ね、徐々に教員間で波及してきた山吹小学校だからこそ、学校文化としてYST(イエナプランで言う、ブロックアワー)が根付き、「自ら考えること」が習慣化されているのだろうと考えられます。 また、傳佐校長先生のお話では、「無理せず、継続すること」の重要性が語られました。無理をして、1年や2年の教育実践で終わってしまうのではなく、持続可能なカタチで教育実践を行うことによって、学習内容と同時に、学び方そのものを学ぶことが可能になっていました。今後も、素敵な教育実践を名古屋から発信いただけることを願っています。

 12/4は、大分県に移動し、玖珠町立くす若草小中学校を訪問。

 実際の授業の様子、ありのままの在校生のみなさまの様子を拝見させていただきました。昨年度、開校したとは思えない学校の「落ち着き」を感じました。児童・生徒は、校舎の温かい木のぬくもりの中、友達と共同しながら伸び伸びと学ぶ姿が印象的でした。子どもたちは、リラックスした環境の中で、先生方とのやり取りを行いながら、学びを深めていました。小学生だけでなく、中学生もそれぞれの進路実現に向けて、一生懸命に学んでいる姿がありました。 なかでも、印象的な教育は、「野遊び」。まず、ネーミングが素敵です。この「野遊び」の時間には、自然に触れる活動はもちろん、山登りや川遊びを通して体力の向上も図っているとのことでした。自然に囲まれた学校の立地を生かした教育実践のヒントを教えていただきました。 小原校長先生のお話では、「理想を、教職員の中で繰り返し共有すること」の大切さが語られました。自分たちの教育実践が、何を目指すのか?誰のための学校か?教育に根差す根源的な理念を共有することで、子どもも先生方も生き生きと過ごすことができる素敵な学校となっていることが訪問を通して分かりました。学びの多様化学校におけるイエナプランの実践として、今後も多様な学びが共有されることを願っています。

 両校ともに、地域の特性を活かした学びや、自律的に学ぶ子どもの姿、共生を根底に据えた取り組みを拝見することができ、公立校での実践事例として、イエナプランの今後の普及・発展の可能性を改めて感じました。 今後、イエナプランが、日本の中でどのように普及し、深化、あるいは進化していくのか、弊協会も微力ながら、イエナプランの実践者・実践校のサポートをしていきたいと考えております。文末にはなりますが、弊協会の専門研修でも講師を務めていただいている佐久間氏の論文から引用をさせていただきます。

 

近年,我が国においてイエナ・プランへの関心が高まり,新学校の設立やコンセプトの受容が広がりをみせている。その理由として,イエナ・プランと新学習指導要領との親和性や「オープンモデル」としての柔軟性などが指摘されうる。「令和の日本型学校教育」の実現が目指されている今日,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実を目指す我が国の教育界において,イエナ・プランは種々の有力な手がかりを提示しうるものである。とはいえ,我が国の教育改革への貢献という巨視的な視点からだけでなく,ヴォルフのように目の前の子供から出発する微視的な視点を忘れてはならないだろう。もしイエナ・プランと教育改革推進の陰で,ヴォルフが大切にしたような子供たちの自発性が損なわれ,「子供たちの邪魔をする」事態が生じてしまうならば,それは本末転倒であろう。何のためのイエナ・プランか。本稿が取り上げた草創期の記録は,そうした原点を問い直す契機を提供しているとも言えよう。

 

 私自身も、イエナプランを学ぶ者、教育実践を行う者として、ヴォルフが実践に込めた思い、ペーターゼンが企図したものをきちんと理解した上で、目の前の子どもの姿から教育実践を考えられる「幻想なき教育科学」に基づいた教育実践を行っていきたいと、改めて感じさせられる訪問となりました。

 

〈訪問校〉 名古屋市立山吹小学校 玖珠町立くす若草小中学校

〈引用文献〉 佐久間裕之(2022)「草創期の『イエナ大学附属学校』における教育実践の特質『労作・生活共同体学校の諸原則に基づく基礎学校』(1925)を手がかりにー」,玉川大学教育学部紀要『論叢』,22pp.23-24

文責:横溝 俊

ヴォルフは,イエナ大学附属学校において,ペーターゼンと共に教育実践を行った教師である。

 

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