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講演・ワークショップ

第1回日本イエナプラン教育協会オランダ研修の報告

東北大地震と津波が起きた3月11日から2日後の13日から18日までの正味5日半、オランダで、初めて日本人グループのイエナプラン教育研修会を実施いたしました。

 

この研修会は、ここ数年毎年オランダのイエナプラン校を学生さんと共に訪れておられる京都教育大学の理科教育研究者、村上忠幸教授から資金面での協力を得て実現したものです。当初、京都教育大学関係者の他に、東京から、日本イエナプラン教育協会の会員4名が参加する予定でしたが、災害発生のため急遽参加を中止、1名だけの参加となりました。待ちに待った研修参加を涙を飲んで中止し、日本での災害復旧と被災者支援に尽くされた3名に敬意を表すると共に、不安な中参加を敢行してくださった1名の方にも、心から感謝の言葉を申し上げます。

 

研修を担当してくれたのは、2007年に日本を訪問してオランダ・イエナプラン教育の講演とワークショップを担当してくれたJAS(イエナプラン・アドバイス・アンド・スクーリング)の専門家、フレーク・フェルトハウスさんとヒュバート・ウィンターさんです。日本からの最初の一弾ということで、できるだけ研修費を安価に抑え、骨を折って準備に協力していただきました。

 

さて、研修の日程は以下のようなものでした。

 

第1日目:前日到着の京都グループと当日到着の東京からの1名とともに、マイクロバス型のタクシーと私の自家用車、研修教員のフレーク・フェルトハウス氏の自家用車とでJASの研修施設があるドレント州のエヒテン(Echten)へ。到着後、ヒュバートさんの手料理のウェルカム・ディナーとシャンペンで夕食。その後部屋割りをして、各部屋で就寝。

 

第2日目:研修第1日目:9時半~17時まで。研修施設内にある研修ホールで、まずは、サークルになって共同ゲームを始め、それから、フレークさんのパワポを使ったプレゼン。研修中の課題は、マルチプルインテリジェンスで得意分野が違う人達が一緒のグループになり、3グループに分かれて、それぞれで、自分たちが日本で作る「イエナプラン校」を企画する、というものです。最終日の午後、企画する学校を全員にプレゼンテーションします。この日から昼食・夕食はグループで交代で担当。(毎日研修が終わったら、グループ毎に近くの村のスーパーマーケットに行き、買い物をして夕食を作ります)

 

第3日目:早朝より2グループに分かれて、ヘーレン市とホーホヴェーン市の二つのイエナプラン校を終日見学。教室に入って授業を見、中休みに子ども達と交流したり、教職員チームと意見交換をしたりしました。

 

第4日目:研修第2日目:9時半~17時まで。前日の学校観察の感想や質問のセッションをサークルでやりました。その後、フレークさんのパワポによるプレゼンと学校で子ども達と行える色々な協働ゲームを体験。瓦を使った観察サークルも子どもになった気持ちで体験しました。

 

第5日目:研修第3日目:9時半~17時まで。パワポによる、イエナプラン教育についての理論や実践のプレゼンが続きます。子ども達との対し方、時間割の考え方、サークスの進め方などが満載で、時間が足りないほどの内容です。その後、グループに分かれて、それぞれの「イエナプラン校」についてのポスターを仕上げました。午後4時各グループのプレゼンテーション。それぞれ、学校名・学校の理念・校舎設計についての考え方、時間割を発表しました。 その後、大急ぎで部屋の設定を変え、研修受講者に、研修受講証明書の授賞式。一人ひとり名前を呼ばれ、証明書に自分でサインし、フレークさんと握手をして証明書を受け取りました。最終日の夕食は、JASの招待で、近くの街のレストランへ。オランダ自慢のパンケーキで夕食を終えました。

 

第6日目:研修第4日目(最終日):6時に研修所を出発し、約2時間かけてバレンドレヒト市のドクター・スハエプマン小学校を訪問。この学校は、2010年に、その年のイエナプラン最優秀校に「オランダイエナプラン教育協会」から与えられるペーター・ペーターセン賞を受賞しています。校長先生はリーン・ファン・デン・ヒューベルさん。同じくJASのトレーナーで、2007年に来日しています。 金曜日の授業を見学。ランチの後バレンドレヒト市を散策。午後は、校長先生のプレゼン。2時半から保護者と全校生徒が集まる、週の終わりのミニ学芸会が行われ、日本からの研修者も参加しました。15時の下校と共に、私たちの研修もすべての日程を終了しました。

 

期間中、オランダでも、日本の東北大震災と原発のニュースが広く伝わっており、JASの職員、学校関係者、ほかにも、現地の方たちからたくさんのあたたかい言葉を頂きました。受講者も皆、毎日新聞、テレビ、インターネットのニュースを見て様子をフォローしていました。

 

研修所のある地方のテレビ・ラジオ・新聞が研修中に取材に来て、報道されました。

 

研修所は、自然保護林の中にあり、朝から小鳥たちが囀り、近くの牧草地には羊がいるという素晴らしい環境でした。敷地内の広い庭にはちょうどクロッカスや推薦が咲き始めていました。また、ゆっくりと余裕のある寝室と、広いリビングルーム、充実したキッチンで、研修後の夜の時間も、参加者同士の意見交換や交流が続きました。

 

研修期間中の様子は、下記のサイトのウェブアルバムにも収録しています。どうぞご覧ください。

 

 https://picasaweb.google.com/richters23/102#

 

*今後もこのような形での研修を続けていきたいと思います。また、大学や団体など、12~15名程度の参加者が揃えば、同じような形、または、ご希望に合わせてオランダ研修をアレンジすることも可能です。ただし、JASは、オランダ国内の教員研修、ドイツでの研修なども行っているため、日程確保は半年ほど前から必要となります。研修をご希望の方は、協会事務局までお問い合わせください。(文責:リヒテルズ直子)

 

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